課題図書紹介『ゲームの王国』上・下
夏の課題図書紹介です。 小川哲『ゲームの王国』上・下(ハヤカワ文庫JA) 📝99%、50%、1%。これらの数はゲームの勝率を表すとします。皆さんはどの勝率のゲームを選びますか? では、そのゲームが「負けたら死ぬ」ものだったら、どうしますか? この本の舞台では、さまざまな政治体制が現れては消えていきます。しかし、体制が変わっても人々を苦しめる不条理がなくなることはありません。秘密警察やテロ、強制労働、虐殺など、形を変えながら理不尽な出来事が続いていく、そんな世界です。この世界に生まれたムイタックとソリヤ。二人は別々の場所で生まれましたが、どちらも現状の社会を俯瞰して見ることのできる、優れた頭脳を持っていました。そして、人生はゲームのようだと考えるようになります。二人はゲームを通して交わり、離れ、時には敵対しながらそれぞれの人生を進んでいきます。そんな二人を中心に、家族、権力者、農民、警察など、さまざまな個性豊かな人物の視点から物語が語られていきます。 この世界はゲームのようでありながら、決して理想的なゲームではありません。ゲームならルールがあり、ルールに従って勝敗が決まるはずです。しかしこの世界では、ルールは簡単に無視され、都合よく書き換えられ、まるでバグのような理不尽な出来事が次々と起こります。 さまざまな立場の人々の視点から一つの物語を見ることで、一方の立場に感情移入しすぎることなく、この世界の不条理さを感じることができます。そしてこの本は、ただ物語として面白いだけではありません。平和とは何なのか。人はどうすれば平和に生きられるのか。そんなことを考えさせられる作品です。 人生はゲームのようなものかもしれない。けれど、そのゲームには決められたルールがあるとは限らない。 そんな世界で、人はどう生きていくのか。 ぜひ読んでみてください。(3組Iさん)