課題図書紹介 高田郁『銀二貫』(ハルキ文庫)


課題図書100冊の旅、24冊目はこちらです。図書委員さんのレビューを紹介しますね。


 📖この小説は寒天問屋「井川屋」店主の和助が天満宮再建のために寄進するはずだった銀二貫で仇討ちを買い、少年の命を救うところから始まります。その少年「松吉」が商人として数々の困難に立ち向かっていく物語です。

 この物語では、松吉がある約束を果たすために寒天により熱中していきます。私は何かに熱中することは辛いこともあるけれど、それ以上に自分を成長させてくれるのだと感じました。職ではなくても、勉強、部活、行事、遊び、その他色々なことに全力を注いでいる中杉生だからこそ、松吉の寒天への思いに共感する人や刺激を受ける人も多いと思います。

 またはじめだけでなく、銀二貫が意図していなかった様々なものに使われていきます。銀二貫が巡り巡って、松吉を中心とした人々にどのような結果をもたらすのかに注目して読んでみてください。(4組Kさん)


📖この小説は、銀二貫と引き換えに寒天屋の店主和助に引き取られた主人公松吉が、寒天屋「井川屋」で奉公人として働く日々を描いた物語である。舞台は江戸時代中期〜後期の大阪であり、そのころ実際に起こった飢饉や噴火、大火などの歴史的な出来事が、本のストーリーにも巧みに組み込まれている。

 私がこの小説を読んで特に印象に残ったのは、松吉が寒天を使ったようかん作りに挑戦し、何度も何度も失敗と改良を重ねていく場面だ。理想の寒天ようかんができるまで努力し続けようとする松吉のひたむきな姿からは、自分も頑張らなければという刺激と勇気を貰えた。中だるみしやすいこの時期にこそ、是非読んで欲しい作品だ。(7組Sさん)


今期の小説二編(『銀二貫』、『舟を編む』)は、ひたむきに一つのことに打ち込む主人公とその周辺の人々を描いた物語です。

図書委員さんのレビューで「色々なことに全力を注いでいる中杉生」こそ読む作品、「中だるみしやすいこの時期にこそ、是非読んで欲しい作品」だ、と書いてあり、そういえばその通り!とそんなふうに受け止めてくれたことがとても嬉しくなりました。

主人公の打算なく、好きなことにただひたすらに打ち込む姿は、今の皆さんにきっと響くものがあるでしょう。見返りも求めず熱中することは、思わぬドラマを生むのです。高校生活に慣れてきた今、自分を振り返るためにもぜひ読んでみてください😊