課題図書紹介 前田健太郎『女性のいない民主主義』(岩波新書)、三浦しをん『舟を編む』(光文社文庫)

 課題図書、期末までのあと2冊はこちらです(1冊は『銀二貫』)。こちらは25、26冊目になります。「今のところ全部読んでます!」という声も多く、嬉しいです。リクエストがあればできるだけ検討したいなと思っています、ご意見お寄せくださいね。

※文庫・新書に限ります

※1000円を超える本はできるだけ避けようとしています


図書委員さんによる渾身の感想をご紹介します。

25冊目はこちら


📖女性の割合が極端に低い日本の政治は、果たして“民主主義”と言えるのか?」という問題提起がなされ、民主主義の定義など政治の教科書に書いてあるような知識や記述の一つ一つをジェンダーバランスという観点から検討し直して、日本と世界の現状を述べています。女性が政治(広く見れば社会)に参加できないのは、意識や価値観のみならず構造のせいなのだ、ということを、理由も含めて詳しく説明しています。新たな見方を与えてくれる本です。
筆者はより豊かな政治の実現を願ってこの本を書いたのだと思いました。日本はまだまだジェンダーバランスに関しての課題をたくさん抱えていることに気づきます。読むと、歴史や政治にもっと興味が湧くと思います。(3組 I君)

この本、昨年度の東京外大入試での課題図書にもなっていた一冊です。2024年度版の日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位。政治や経済において、改善すべき問題は山積しています。この本は、危機を意識し、視野を広げるきっかけになるのでは。



26冊目はこちら


📖この作品は、ひとつの辞書『大渡海』の誕生物語であり、また、『大渡海』に関わったすべてのひとの成長の物語である。
 登場人物それぞれの辞書と言葉に対する愛情と情熱がいきいきと描かれ、文章表現ひとつひとつがとても美しかった。また、章ごとに別の人物の視点に変わりながら話が進み、それと同時に時間も進む。前の章で曖昧に終わった小話の結末が次の章で一瞬にしてわかったり、さりげないところで登場人物の成長がみられたりするところがとても良かった。私は登場人物ひとりひとりに感情移入して度々泣いてしまった。また、人物の思考を覗くような気分で読んで、言葉に精通したひとの思考を知ることができたのがおもしろかった。言葉の重みの美しさを描いた作品だから、感想も綺麗な言葉で書きたかったけれどむずかしい。でも、表現がうまくできなくても、言葉に愛を持って伝えようとすることが大事だと気づけた。言葉を大切にしようと思えた。馬締光也がそうだったように。(7組 Nさん)


↑はぜひ、この本を読み終えた後にもう一度読んでほしい素敵な感想だなあと思いました。本の世界をまさに全身で享受して言葉を紡ぎ出そうとしているのが伝わります。
皆さんも、『舟を編む』ワールドに一度浸かってみてください。