課題図書紹介『街場のメディア論』
先日までの課題図書1冊と、今期の課題図書2冊のレビューを一挙ご紹介します!
📖内田樹『街場のメディア論』光文社新書
📝内田樹さんの『街場のメディア論』を読んで、メディアはただ情報を伝えるだけのものではなく、私たちの考え方や社会の空気を作っているものなのだと感じた。特に印象に残ったのは、「メディアとクレイマー」の章である。この章では、現代社会では人々が自分を「被害者」の立場に置き、相手に責任を取らせようとする考え方が広がっていると述べられている。
たとえば、マクドナルドの熱いコーヒーでやけどをした女性が多額の賠償金を得た話や、はしかの流行で大学が休校になったときに、授業を受けられなかった学生が補償を求めた話が紹介されている。どちらも一見すると「損をした人が文句を言っている」だけのように見えるが、著者はそこに、何でも相手の責任にしてしまう社会の危うさを見ているのだと思う。
また、給食のときに「いただきます」と言わせることに対して、「給食費を払っているのだから感謝する必要はない」と考える親の例も出てくる。この話を読んで、お金を払っている側が常に偉いという考え方が強くなりすぎると、人と人とのつながりや感謝の気持ちが失われてしまうのではないかと思った。
この本を読むまでは、メディアはテレビや新聞、インターネットのように情報を伝えるものだと思っていた。しかし実際には、メディアは人々の不満や怒りを大きく取り上げ、それによって社会の考え方にも影響を与えている。情報があふれている今だからこそ、ただ受け身で見るのではなく、「本当に相手だけが悪いのか」「自分にも考えるべきことはないのか」と立ち止まることが大切だと思った。少し難しい内容もあったが、現代社会でメディアとどう向き合うべきかを考えるきっかけになる本だった。(8組S・R)
📖スティーブンスン『ジーキル博士とハイド氏』光文社古典新訳文庫
📝ロンドンで起こる奇妙な事件をきっかけに、正体不明で見る者に強い嫌悪感と不気味さを抱かせる男・ハイド氏と高名な医師ジーキル博士の不思議な関係が描かれていく奇妙な物語。事件を追えば追うほどに、謎が謎を呼び、そして最終的に訪れる衝撃的な結末は………。
本作はミステリーとしての面白さだけでなく、人間の心に潜む善と悪、理性と欲望という普遍的なテーマを巧みに描いています。登場人物たちの葛藤や苦悩、後悔が丁寧に表現されており、「人間とは何か」を考えさせられる奥深い作品です。読後にはさまざまな解釈ができる奥深い作品なので、ミステリーや心理描写が好きな人にぜひおすすめしたい一冊!(7組I・K)
📖戸谷洋志『生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ 』講談社現代新書
📝この本の第一章に出てくる「自己責任」について皆さんはどのように考えますか。多くの人は「自分の行動によって起きた結果を全て自分で引き受けること」と考えるだろう。しかし、この本では新たな考え方を教えてくれる。
私が印象的だったのは、「自己責任」の例として挙げられているナチス・ドイツによるユダヤ人迫害に関する例だ。「なぜ、国民は密告してしまうのか」その理由には、自ら進んで行った「能動的」な意思だけではなく、国に従うしかなかったという「受動的」な諦めも含まれている。そのため、誰が責任をおうべきなのかと筆者が問うところだ。
この本は「自己責任」以外の言葉の新たな捉え方も教えてくれる。「生きることは」や「責任」などの言葉がタイトルに入っていてかたい話にも見えるが、私たちが日常で何気なく使ってる言葉についての新たな発見にもつながる本なので、読んでみてください。(3組H・Y)


