春休みの課題図書紹介
春休みの宿題はclassroomにまとめてあります。計画を立てて学習しましょう!
課題図書のレビューを紹介します。
①トーマス・トウェイツ『ゼロからトースターを作ってみた結果』(新潮文庫)
✏️だれしもが1回は使ったことがあるであろうトースター。この本はそんなトースターをゼロから作る過程が描かれています。自分はこの本を読んで2つのことを考えました。
1つめは諦めずに取り組むこと、根気強さです。この本ではタイトルにある通り、材料などのものは全て自分で手に入れ、本当になにもない状態からトースターを作るという過程が描かれています。ときには難しい材料については協力を依頼しても断られてしまうなど挫折しそうになりますが、それでも彼はなんとかして手に入れようとする場面が印象的でした。
2つめは最後に述べられている「どれだけ他人に依存して生きているか」ということです。私たちは便利な製品を使うだけだが、それまでにはトースターのようにいろいろな過程があり多くの人が関わっています。また、その製品の作られ方や原理を知らないまま使っているものがほとんどだと思います。その点で多くの便利な製品はまるで魔術のような領域を広げていると感じました。しかし、そんな身近なものがどのように作られているのかを考えてみると世界が広がるのではないか、そんなふうに感じたおもしろい一冊です。(8組 S君)
✏️この本は題名の通り作者のトーマス・トウェイツがゼロから、銅や鉄などの原材料からトースターを完成させるまでが書かれています。内容はトースターを作るまでの過程を記したシンプルな内容です。しかしどこか人並み外れた「ゼロからトースターを作ってみた」という作者の発想や行動は意表を突くことばかりで、とてもワクワクしながら読むことができました。私は正直「普通そこまでする?」と毎回驚きながら読みました。また自分たちがそれぞれで道具を作れていた昔と専門の人しか開発できない道具の現代、専門職でもない人が今の人間のものづくりの限界を表したような実は深い内容の本ともなっています。(6組 Iさん)
…ほんとに文字通り「ゼロから」トースターを作る話。この本は、以前ゲーム作家の山本貴光さんのお話を聞いたときに、オススメしていた一冊です。ちなみに話がそれますが、山本さんのお話はとても面白かったです この、漢字の話も面白いから時間があるときに読んでみて)
何もないところから本当にトースターは作れるのだろうか?そんな疑問が実現できるのかやってみようとし、常識の殻を破っていく筆者の数々の行動に釘付けとなっていくでしょう。2年生になって、色々なアイディアを出しながら取り組む「探究」がスタートする皆さんへのエールとして出した本です。「こうしたい」という思いが現実になるまでの試行錯誤する過程をぜひ知り、皆さんも探究を楽しんでくださいね。
②芥川龍之介『羅生門・鼻・芋粥』(角川文庫)
どちらが手に入りましたか?
✏️日本文学として有名な芥川龍之介の『羅生門』。昔から多くの注目を浴びていることから、どんな話なのかわくわくした心持ちで読み始めたが、後には奇妙さと気味の悪さだけが残った。
舞台は災害が続き、不況となった京都。失職してしまった主人公の下人は飢死を免れ生きるために盗人になるか迷っていた。そんな時に衝撃的な場面に出くわす。暗闇の中で女の死体から髪を抜こうとしている老婆を見たのだ。下人は正義感から老婆を問い詰め、「この女は生前、生きるために悪いことをしたのだから、自分の行為も許されるはずだ。」と述べた老婆に対して嘲るような声で念を押す。そして正義感のなくなった下人は老婆の着物を剥ぎとり、夜の闇の中へ去ってしまう。その後、「死んだように倒れていた老婆が、その裸の体を起したのはそれから間もなくのことである。」と描かれているが、下人の行方はわからずじまいである。
死に間近に直面した時、人間の正義感は簡単に揺れ動いてしまうものだということを深く感じた話だった。(5組 Sさん)
…「羅生門」、2年生の1学期の「文学国語」で皆で読もうと思っています。有名な短編なので、すでに読んでいる人も少なくないのでは。
さて、初めて読んだ感想はどうだったでしょう?このSさんの感想のように、「奇妙さと気持ちの悪さ」「"簡単に"正義感は揺れ動くもの」という思いを抱いたでしょうか。
教室で読むうちに、様々な解釈が構築されると面白くなるのではと思っています。
まずは、芥川ワールドに一度踏み込んでおいてみてくださいね。他の所収作品は、classroomに載っています。
他にも2冊あります!満開の桜の下、読書を楽しんでみてください。