課題図書紹介 江國香織『すいかの匂い』(朝日文庫)

夏休み最終日は、課題図書紹介です。夏休みは5冊出しましたが、過去記事で図書委員さんからのレビューを紹介していますので他記事のレビューも遡って読んでみてくださいね。


📖夏特有のじりじりとした暑さが言葉で表現されている短編集。どの短編も主人公は小学生の少女か小学生の頃の思い出話で、不思議な人物との出会いや別れが夏を背景に描かれている。

タイトルから、夏の爽やかな描写がされているのかと思い読み始めたが、その考えとは全然違った。

どの話もいじめられていたり、家庭環境に不満があったりとあまり満ち足りているとは言えない少女たちが主人公である。その少女たちに大きな影響を残す夏が舞台となっている。中には子供の純粋さが故に奇妙な出来事も多く登場する。一人一人違う少女たちそれぞれの夏の過ごし方、大人には言えない秘密や幼さによる純粋さなど、小学生ならではの夏にまつわるエピソードが主人公の感情や感覚と共に繊細に描かれている。読んでいると物語に引き込まれ、子供だった頃の気持ちが思い出される短編集である。(5組 Sさん)


📖この本は、いくつかの短編に分かれていて、奇妙な話や読者の想像を引き立たせて終わる話などがある。

特に印象に残ったのは「弟」という話で、弟の葬式で過去を回想する物語なのだが、物語は淡々と語られていて、主人公が

弟の死に対して悲しみがないように感じられる。それは、主人公は人は死ぬのが当たり前であり、ひいては葬式をあげてもらえることは

幸せじゃないかと思っているように見て取れる。この独特の死生観はなにか惹きつけるものがあった。

スイカの匂いは、一つ一つの話が短編故に、読者の想像により、話を多角的に捉えることができ、人によって解釈の異なる話となる、そんな魅力的な作品だと思う。(4組 Sくん)


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さて、夏休みはいかがでしたか?酷暑🌞、雷雨⛈️、台風🌀…お天気に振り回された日もありましたが、充実した日々を送れたのではないかと思います。😊😊

2学期は大きな行事も目白押し。長いようでいて、一つ一つに一生懸命取り組むと、結構あっという間に終わってしまうものです。行事も勉強も諸活動も、皆で楽しんでいきましょう!

明日は9:40HRです!