課題図書紹介 エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』(新潮文庫)

 冬休みの課題図書は4冊出ています。1冊目はこちら。(クリスマスシーズンに合わせました!)


📖 ジョニー、マルティン、ウーリ、ゼバスティアン、マティアスの5人を中心とするギムナジウムの少年たちの成長が丁寧に描かれたクリスマス物語である。初めはカタカナの人名に馴染めず、紙に書いて整理しながら読むようだったが、ケストナーの世界に引き込まれていくうちに気づかなくなっていった。 特に、家の貧しいマルティンがクリスマスに家へ帰れないと一人泣いていたシーンは印象的だった。あの時そっと寄り添ってくれた道理さんの優しさには思わず涙ぐんだ。ユーモアも交えながら本当の意味で子どもに寄り添った、厳しくも暖かい作品で、この時期に読めてよかったと感じた。(5組図書委員 Oさん)


📖クリスマス間近に、ドイツのある寄宿学校で起きる大小の事件を在校生である少年たちが解決しようと奮闘していく話。この本には、少年たちが生み出す勇気、知恵、ユーモア、思いやり、加えて友情や家族への愛情が溢れている。エネルギーに溢れた少年にも、一人一人悩みが存在し、それに一生懸命向き合おうとする姿が印象に残る。更に、大人がどうやって子どもを導くべきか、どう寄り添っていかなくてはならないのかという人間的なことを読者に語りかけている作品だ。

 少年たちが事件に遭遇して自分たちで解決しようと頭を悩ませながら共に議論しつつ、時々大人に助言を求めながら解決の糸口を見つけ成長し、時には大人自身をも思いがけない出会いに導いていっている。

 児童文学作品と言われているが、子供だけではなく大人も読むことで思わぬことを発見できることが多い作品ではないかと感じた。(6組図書委員 Iさん)


そう。2人が書いてくれたように、大人が読んでも(大人の目線で子どもを慈しみいたわる立場として/子どもの目線で、子どもだった頃に返りながら)さまざまな気づきを得る本ですね。皆は今、子どもと大人の狭間にいる高校生。今だからこその気づきを大切にしながら読み進めてみてください。どちら側の目線になることが多いでしょうか?

この一冊、学年主任の重枝先生の愛読書でもあります。読んだらぜひ語り合ってください!