課題図書紹介 芥川龍之介『蜘蛛の糸・地獄変』(角川文庫)
中杉課題図書100冊の旅、8冊目はこちら。確認テストは6月10日朝です。
所収作品は八編、「袈裟と盛遠」「蜘蛛の糸」「地獄変」「奉教人の死」「枯野抄」「邪宗門」「毛利先生」「犬と笛」。皆さんがよく知っているのは表紙のタイトルになっている二作品でしょうか。
図書委員さんからのレビューを紹介しますね。
📖「蜘蛛の糸」について紹介します。罪人が集まる地獄の底に犍陀多という男がいます。彼も同様に悪事ばかりしてきた罪人です。しかし彼の頭上にお釈迦様から銀色の蜘蛛の糸が垂らされました。極楽にいくために犍陀多が糸を上っていく話です。私はこの話を読んだときに犍陀多が罪人に向かって自分が助かるためにおりろとわめく行動に共感しました。私は時々「自分だけが」という気持ちから他人にとって無慈悲な行動をとってしまうときがあります。この話はそんな人間の心の醜さを表現していると感じました。また自分が犍陀多だったらどうするのか、どうすれば極楽に行けたのか想像して読むのにも楽しい一冊だと思いました。(6組Iさんより)
📖この本の中で特に印象に残った作品は、「地獄変」だ。最初に読んだときは、開いた口が塞がらないほどの衝撃を受けた。
出てくる人物は皆、どこかおかしいところがある。 傲慢だが凄腕な絵師の良秀、豪傑だが下々も思いやる堀川の大殿、心優しき良秀の娘、そして語り手で大殿に使えている私。この話は、とある出来事をもとに良秀、大殿の人間らしさ、そして悲しさがよく現れていると思う。私から見た大殿と、読者が見る大殿の違い良秀の絵師としての凄さと、人、親としての儚さなどがよく対比されていて、強い印象を与え、心に残った。
人の行動は矛盾だらけだと、様々な視点を作ることで読者に多角的に見せて、よく考えさせられる作品だと思った。(4組Sくんより)