課題図書紹介 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫)
中杉課題図書100冊の旅、11冊目はこちら。確認テストは期末試験にて。
(すみません、長らく下書きのままになって公開していませんでした…テストは終わってしまいましたが、ぜひレビューをお読みください!)
📖「桐島、部活やめるってよ」――この本の題名を見て、まず桐島のことが気になるだろう。しかし、この本には桐島本人は出てこない。だが、彼の存在は同じ学年、部活の人達の発言によって背理法のようにはっきりと浮かび上がって来る。
各章にはそれぞれの悩みを持った少年少女が描写され、桐島が退部したことがその悩みに大きさは違えど関わってくる。
高校という大きな空間で、その少年少女達の小さな一つ一つの関わりを繋ぎ止めてこの物語はできている。桐島の存在もまた登場人物たちを繋ぎ止めるためのとても大きいビスのひとつなのだ。
その高校の中でも、桐島は学校の力関係を担うとても大きなビスであった。
桐島が退部したことですぐに変わり変わり始める力関係。しかし、関わりを繋ぎ止めるビスは緩まない。その違いによってこの物語は成り立っていると私は思う。
(3組図書委員・H君)
この本で繰り広げられるのは、「桐島」が実際に登場することがないからこそ成り立っている世界。「不在」の意味について、昨年度卒業した59期生の一人が本校の卒業論文(3年生になると6000字以上の論文を作成します)で論じていました。たしかに、桐島はカリスマ性を有していて、宗教性と結びつけて論じられる面がありますよね。そして、そう論じていくと、周囲を取り巻く生徒達の成長が見えてきます。
↓彼女の作った発表用スライドと論文はこちらです。よかったら覗いてみていただければ。
発表用スライドはこちら
論文はこちらです(ちょっと読みにくいので、じっくり読みたい人は図書室に行ってみてくださいね。)
タイトル:『桐島、部活やめるってよ』桐島不在の意味するもの
サブタイトル:スクールカースト内での信仰対象という位置づけ